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第8回 結論:より善い幸福な人生のための智恵とアート

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これまで、幸福の概論からはじまり各ライフステージにおける様々なジレンマについて対話型形式で考えてきました。いよいよ最終回となった結論編では、より善い幸福な人生を歩むための智恵とアートについてのお話です。

 

道徳的ジレンマをタイプ分けすると、主に3つに分けられることは各回の授業でやってきました。ジレンマに直面したときに大切なこと、それはまず自分がどのタイプなのかをおおまかに把握したあと、一度哲学の基本的な考え方に立ち返り、そこから再びジレンマに対処することです。これは、問題に対して周辺から入り、考えが堂々めぐりに陥らないためにはとても有効だそうです。

また、他者の視点から自分を見つめなおすことも大切とのこと。哲学的には省察(Reflection)という言葉を用いるのですが、反省・振り返りと言うこともできます。省察は、自分を時間(過去や将来)的、空間(世間やコミュニティ)的に多様な角度から見つめなおすことができます。

 

コミュニタリアンを政治哲学とする小林先生としては、やはり美徳型の人生モデルがオススメ。これは「周囲の人に感謝され人生が充実することで生きる意味を見出し、結果として満足な最期を迎えられる」のではないかとのこと。快楽型や自由型にはそれぞれ見るべき重要な点があることもまた事実なのですが、それらの型に一方的に偏るのではなく、良い点をうまく取り入れつつ美徳型を意識したほうが、善き生には重要とのことです。すなわち、美徳を前提にしつつ、快楽も自由も可能にする総合的美徳(=快楽+自由+美徳)が、幸せのためのアートとのこと。

道徳的ジレンマのような難しい問題には、これといった答えがありません。また、答えを見つけたと思った途端、すべてが嘘になるのかもしれません。何事にもすぐに答えを求めたがる私たちにとって、これはとても耐えがたいことでしょう。ゆえに、私たちはジレンマを直視せず、意識的に問題から目を背けてしまっているのかもしれません。

大切なのはジレンマに対する答えを見つけることではなく、答えが分からなくてもやっていけるチカラ。そして、昨日よりも今日、今日よりも明日が幸せであることを信じて生きていくこと。答え探しに必死になるよりもジレンマと上手につきあい、少しでも日々をより善く生きるための工夫。

対症療法的な答えに誤摩化されることなく、変化が激しい時流に惑わされないためにも、こういった骨太な考え方が必要なのかもしれません。

 

ブログでは授業内容のすべてをお伝えすることはできませんでしたが、一人でもこのクラスに興味を持たれた方、哲学的対話に参加してみたいという方がいらっしゃったら個人的にとても嬉しいことです。

最後の講義で受講生に挙手をしてもらい判明したことなのですが、およそ8割の人が、このクラスを受講する前と後で自分の考え方に変化があった、もしくは考えが深化したと感じたそうです。ですので、少しでも興味のある方は、ぜひ一度受講してみることをオススメします!

最後になりましたが、講師の小林先生そして受講生のみなさん3ヶ月間どうもありがとうございました。

クラス委員 ニシヤマ


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